これはなにか
「企画における5つのフェーズ」のフェーズ2「解法の選択」の進め方をまとめたものである。
フェーズ1「課題の選択」をまとめた『「課題の選択」を構成する3つのステップ』の続編となっているため、前回の記事も合わせてご覧いただきたい。
これはなにか 「企画における5つのフェーズ」のフェーズ1「課題の選択」の進め方をまとめたものである。 [sitecard subtitle=関連する記事 url=https://aboutproduct.jp/media/work/95/[…]
また、今回もわかりやすさを重視し、基礎的な内容となっているため、シニアなPMは対象読者として想定していない。
解法の選択の4つのステップ
解法の選択とは、「見つけた問の解決方法を決めること」である。
この解法の選択は問が解ける度合い、すなわち「どれくらい数字が伸びるか」を担っている。
- 仮説を立てる
- 解決策を出す
- 評価する
- 検証する
以降、1~4を前回と同様に「とあるECサイトの売上をxxxx円増やす」という事例とともに、詳述する。
1. 仮説を立てる
解くべき問に対して、なぜその課題が発生しているかを考える。
ここでは明確な理由がわかっていない場合でも、仮説として理由を考えて仮置きする。
なぜなら、仮説がない状態でアイデアを考えてしまうと、もし施策が失敗した場合に、仮説に立ち戻る事ができず、適切な振り返りを行うことができなくなるからである。
例えば、解くべき問が「未購入者が新規購入転換する際、会員登録ステップでの離脱を防ぐにはどうしたらよいか?」だった場合、いくつかの仮説があげられる。
- 会員登録時に入力すべき項目が多い
- 会員登録時点で手元にない情報の入力を求めている
- 会員登録の進捗状況が不透明で進める気が失せる
- 画面遷移が多くて離脱の機会が多い
どの仮説が正しいかは、明確にはわからないため、この段階では最も確からしいと思えるものを選択する。
2. 解決策を出す
1で立てた仮説をもとに、アイデアを出すことである。
この段階では、案の良し悪しは構わない。
そのアイデアが良いかどうかは、次のステップで評価するためである。
2つのパターンを列挙する。
2-1. ひらめく
立てた仮説によって、問は解けるサイズまで小さくなっているので、あとは解決策を考える。
シンプルなブレインストーミングからはじめてもいいし、単なる思いつきでも良い。可能性のあるものをあげていく。
2-2. 他サービスから探す
自分で考えてひらめく以外にも、類似のサービスの解決策を見て、自サービスに適応させるという方法もある。
例えば、選んだ仮説が「会員登録の全体でどこまで進んでいるかがわからない」だった場合、他サービスの会員登録フローを研究し、「会員登録フロー内の各ページに進捗を示すゲージを表示する」、という解決策を見出す事ができるかもしれない。
ひらめく場合でも、見つける場合でも、日々の他サービスからのインプットが重要である。
3. 評価する
出てきたアイデアを評価する。
ここでも「課題の選択」時に使用した、フィジビリティとインパクトの掛け算を用いる。
ここでは、出てきたアイデアの中で、問を解ける可能性が最も高いものを見極める。
ポテンシャル x フィジビリティ
- ポテンシャル: 課題を解決できる可能性が最も高い方法はどれか
- フィジビリティ: 現実的に実現の可能性はあるか
4. 検証する
実現可能性が高く、ポテンシャルがある解決策に絞り込めたら、次は仮説と解決策のペアが正しいかを検証する。
それなりのコストを投じて開発を進めるため、不確実性はできる限り下げたい。このステップは、ぶっつけ本番で大規模改修や新機能をリリースし、空振りに終わるという事態を避けるために行われるステップである。
なお、大きな機能改修や、大型の新規機能実装などのケースで必要になるステップであるため、小さな企画であれば省略しても良い。
2つの手法を紹介する。
4-1. スモールテスト
大規模な機能改修や機能追加の小型版をつくり、ユーザーの反応から、立てた仮説と解決策の方向性が正しいことを確認する。
例えば、ECサイトにおいて、商品閲覧数を増やすために、下記の仮説と解決策を考えたとする。
- 仮説: 興味を持ちやすい商品をリコメンドすることで、商品の閲覧数が増える
- 解決策: 商品詳細画面で関連性の強い、別の商品へのリンクを表示する
この場合、まずは特定の商品郡のみを対象として、決まった商品のリンクを表示し、ユーザーの反応を見る。
この検証でポジティブな数字の変化が見られれば、これらの仮説が検証されたことになる。
このように仮説が検証されてから、バックエンドのシステムを作り込み、対象スコープを全商品として、機能を完成させて行くことで、企画の不確実性を下げることができる。
4-2. プロトタイピング
機能を作る前に、ProttやInVisionといったプロトタイピングツールを使い、ユーザーインタビューを通じて反応を確かめる方法である。
これらのツールを使わなくとも、紙に手書きで書いたラフをもとに行う、ペーパープロトタイピングという手法もある。
どちらにせよ重要なことは、実装を始めるまえに仮説や解決策の方向性が正しいかをユーザーに問うことである。
まとめ
「解法の選択」フェーズでは、下記4つのステップを通じて、仮説に基づき解決策を出し、評価・検証を通じて、最良の一手を決めていく。
- 仮説を立てる
- 解決策を出す
- 評価する
- 検証する
企画の中心とも言えるこのフェーズでは、PMは仮説と検証を繰り返し、不確実性を下げながら企画を固めて、ムーンショットを狙っていく。
次回は「選んだ解法」を現実のものにする「製品の実装」フェーズについてポストする。