情報の大洪水時代になぜ”重いコンテンツ”を作るのか

これはなにか

まとまった文章を少なくないエネルギーをかけて書くということを、もうかれこれ3年くらいやっています。一本のポストを出すのにそれなりの時間をかけて作っています。

どれほど見られるか、どれくらいの効果があるかもわからないものにそれなりの時間を投下するのは正しくないのでは? 認知を取るだけならもっとコスパの良い方法があるのでは。

そんなもっともらしい声もあるのですが、私がそこそこの時間を投下して文章を書く、その背景にある考え方を書きました。

高単価(値) x 多分量 = 高価値

世の中にコンテンツが増えすぎて、時間の取りあいになってる世界だからこそ、一文字あたりの意味を凝縮して、一文字単価(値)をあげた上で、しっかりした分量のコンテンツを作るようにしています。

計算式に表すと、高単価(値) x 多分量 = 高価値になるようなコンテンツを心掛けています。

安易でインスタントなマーケに逃げない

マーケティング的な発想で考えると、少し前に流行った箇条書きツイートやら、メモスクショ、図解やらの手法が、少分量の ―つまり読み手も書き手も低コストで済む― 良コスパコンテンツを生むテクニックとして重宝されがちだと思います。

たしかに、投入時間量に対して、なんらかの設定した成果(例えばブログのPVであったり、例えばSNS上でのリアクションであったり)を効率的に上げていくという意味合いにおいては、これらのテクニックを使ったほうが一見効率が良いのかも知れません。

ただ、ここで考えるべきだと思っているのは、微小コスト x 低価値で作る “縮小均衡的な良コスパ” は果たして本当にコスパがいいのだろうか、ということです。

良コスパと意味の大きさはトレードオフにならない

読み手の視点に立ってみましょう。

読み手の視点においては、クイックに情報にアクセスできるほうがコストが低いのは明らかです。なのでサマリがほしいし、3行でまとめるとなにかを教えてほしかったりします。

ただ、自分自身のコンテンツ消費体験を振り返ると気づくとのですが、読み手にとって価値が高い情報(重要性が高かったり、面白かったり)であれば、分量が多くコストが高くても一定読み進められてしまいます。

読み手のコストはどこかのラインでサチってプラトーに入るので、結局しっかり意味を詰め込み、それなりに密度も体積も大きいものを作って”意味の総質量”を上げていった方が、読み手にとってのコスパと価値の大きさの両方を取れるコンテンツになるかなと思います。

このように、中規模コスト x 高価値 で作る “拡大均衡的な良コスパ” を目指して、規模・効率の両取りをしたほうが結果として読み手の満足度は高くなると考えています。

“重いコンテンツ”は書き手にも良コスパ・高価値の両取りをもたらす

一方で書き手の視点ではどうでしょうか。このように読み手にとって得る価値が大きく、さらにコスパも良いコンテンツは、書き手やメディアに対して強い信用やロイヤルティを生みます。

それらの信用やロイヤルティがストックされていった結果、また再び手にとって目を通して貰える可能性が高まります。

また、極小コスト x 低価値による “縮小均衡的な良コスパ” で投入されたファストファッション的なコンテンツは、世に溢れかえります。

これには2つ理由があり、投入コストが極小なため参入者が増えるという側面に加えて、低価値なため、価値のボリュームを出すためには投入量でカバーする必要があるからです。

となると、参加者数および、1人の参加者におけるコンテンツ数が増えるため、必然的に競争が激しくなる。

その結果、書き手は回し車の中にいるハムスターのごとく、永遠と薄いコンテンツを生み続けねばならなくなり、極小コストのコンテンツ生産戦略を取っているはずなのに、いつのまにか細切れの時間をとめどなく使っているということになります。

こうした思想から、重いコンテンツを作っていったほうが、書き手にとっても良コスパ・高価値なコンテンツにつながるのではないかな、と考えています。

まとめ

  • 高単価(値) x 多分量 = 高価値を目指す
  • 読み手のコストはプラトーに入るから”意味の総質量”を上げた方が良い
  • “重いコンテンツ”は一周回って書き手にとっても良コスパ・高価値につながる

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