スーパースターに依存しない、働き方の設計が与えるチームへの4つの影響

個人とチームパフォーマンスの最大化とバランスが重要

これはなにか

これは場所の同一性と時間の同期性がチームで働くことに対して与える影響を整理したものである。

当社でも緊急事態宣言解除の方針が固まった報道を受けて、今後の働く場所・時間についての議論が行われた。
その中で自分なりに、何が論点になるのかを考えた内容をまとめている。

パフォーマンスの最大化とバランス

この新型コロナウイルスの流行によって、働く場所、働く時間の概念を再考することが求められた。
これからも状況の流動的な変化が続く見通しの中で、働き方や制度を整えていく上で、論点を整理して考える。

論点の候補は、業務効率、設備投資、チームのパフォーマンス、組織文化、組織への影響、関係性の希薄化、孤独感など様々である。

しかし、この働く場所・働く時間を突き詰めて考えたとき、最も大切なものは「個人のパフォーマンスの最大化」と「チームワークによるパフォーマンスの最大化」のバランスとその総和だと考える。

個人とチームパフォーマンスの最大化とバランスが重要

個人のパフォーマンスとチームワークによるパフォーマンスの総和だけではないのがポイントで、バランスもとても重要だと考えている。

バランスを欠くとどうなるか

単純に総和を最大化する考えだけだと、スーパースターのパフォーマンスを最大化するために、チームワークへの影響をおろそかにすることが許容されてしまう。

スーパースターのパフォーマンスを維持するために、その他の人間との連携やその他の人間のパフォーマンスを下げて良いわけではない。
たとえパフォーマンスが上がる個人の能力が、その他のメンバーよりはるかに高くても、である。

組織の成果のスーパースター依存

一部のスーパースターのパフォーマンスが、組織全体のパフォーマンスの大部分のウェイトを占めると、スーパースターへの依存が始まる。

すると、次第に周囲はそのスーパースターの意見を重要視し、スーパースターにおもねり、ご意見を伺い、スーパースター中心の組織となる。

結果として、組織の風通しは悪くなり、スーパースターを動かせる中間層の人間に権力が集中し、組織的政治が発生するようになる。

スーパースターひとりでは全ての機能をカバーできない

組織運営は複数の機能を持ち、役割分担がなされた上で行われる営みである。そこでは高度に専門化・機能分化した職能に分かれ、背中を預け合って業務を行う。

このように専門職が集まって形成されている組織において、一部のスーパースターが能力を発揮したところで、どんなに優れていても専門領域の機能と隣接領域の合計3つ程度の機能しかカバーできない。

チームワークによるパフォーマンスへ4つの影響

では、それぞれのパフォーマンスを規定する要素はなにか。

個人のパフォーマンスを構成する要素はそれぞれで、類型化しにくいため、今回はチームワークによるパフォーマンスへの影響について詳述する。

チームワークによるパフォーマンスへの影響は2類型、計4つの要素に分けることが出来る。

チームのパフォーマンスに影響する2類型と4要素

直接的・明示的影響

これから取り上げる2点はチームワークにおけるパフォーマンスについて、直接的・明示的な影響がある点である。
こちらは比較的わかりやすく、日常でイメージしやすいものである。

新型コロナウイルス以前でも、リモートワーク・テレワークおよびフルフレックスのような環境で発生していた課題だろう。

予測の不透明性

予測の不透明性は、いつどこにいるか分からず予測が立たないことで、計画が立てられないことを指す。
「何曜日にいるかわからない」「何時にいるか分からない」といった状況である。

進捗の遅滞

進捗の遅滞は、いるタイミングが特定の曜日などに固まっていることで、各種意思決定や進捗を行うにあたって、遅滞が発生することを指す。
「来週まではいません(なので意思決定や行動ができない)」といった状況である。

間接的・暗黙的影響

次の2点はチームワークにおけるパフォーマンスについて、間接的・暗黙的な影響がある点である。
前2つの点と比べて、効果が見えにくく、定義や計測が難しいため、比較的主観による感覚論で語られることが多い領域である。

偶発性の低下

偶発性の低下は、予定していない会話や接触によって生まれる発見や協力、問題解決の頻度が下がることを指す。また、リモートワーク・テレワークを経験して、ちょっとした相談がしにくくなったといった経験はないだろうか。

ここには、そのような「ちょっとした会話のハードルが上がる」といった事象も含まれる。

ネットワーク形成の鈍化

ネットワーク形成の鈍化は、組織内での縦横斜めの繋がり(ネットワーク)の形成が弱まることを指す。

既存のネットワークの弱体化に加えて、新しいメンバーやこれまで関係性のなかったメンバー間での新規ネットワークの形成も鈍る。

ネットワークの過密性と各回路の強度は、組織文化にもよるが、そのまま組織の強みとなる要素のひとつであるため、下記サイバーエージェントの例のように、重要視する例も多い。

渋谷ではたらく社長のアメブロ

非常事態宣言から約1ヶ月半、サイバーエージェントでは全社員が原則リモートワークでしたが、その解除の方針を受けて6月1日か…

最適行動の積集合を上手く取る

個人のパフォーマンスが最大化される働き方はそれぞれ異なる。その積集合を上手く取った制度設計を行い、個人パフォーマンスとチームワークのパフォーマンスをバランスを取った上で最大化することが大切である。

まとめ

  • 個人パフォーマンスとチームワークのパフォーマンスの最大化とバランスが大切
  • バランスを欠くと各人のパフォーマンスが引き出されなかったり、スーパースター依存になる
  • チームワークのパフォーマンスは2類型、4つの要素に分けて考えることができる
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