「本当に必要なのはそれじゃなかった」振り回されチャーンが発生し、ぼやけたプロダクトだけが残るメカニズム

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※注)本ポストはnoteから移植されました

なぜ翻弄されるのか

BtoB SaaSにおいて、プロダクトに対する一顧客の要望に、逐一答えて翻弄されてはいけないと言われる。

しかし、それは現実に起こりうることっぽい。そしてそれはなぜ起きるのだろうか。

ということをシャワーを浴びながら整理した。

深夜で正直眠いので、がーっと書き下して推敲なしで出しちゃおう。

振り回されチャーンのメカニズム

このように一顧客の要求に翻弄された挙句、チャーンになることを「振り回されチャーン」と呼ぶことにする。

この振り回されチャーンはなんで起きるのだろう。そして何が残るのだろう。それはこの9のステップから成るシナリオを辿っていくからだと思う。

①導入の目的を明確にさせてない
②顧客とKPIを握れてない
③成果が目に見えて伝わらない
④タンジブルな機能追加を求められる/チャーン理由にされる
⑤チャーンの御旗を掲げて社内調整
⑥なんとか対応する
⑦でもなんか違うと言われる
⑧結局、チャーン
⑨残るのは焦点のぼやけたプロダクト

それぞれ簡単に説明する。

①導入の目的を明確にさせてない

受注時の導入目的を明確にして、自社製品を導入した背景や、顧客社内のカウンターパートやステークホルダーの期待、望んでるものを明確にしていない。

②顧客とKPIを握れてない

何を目的に導入したのかが曖昧だと、KPIに落とし込むことができない。目的を計測できるようにしたものこそが数値目標でありKPIだからだ。この仕事はCustomer Success Managerが果たすべき役割だろう。

③成果が目に見えて伝わらない

KPIを顧客と握れてないもんだから、自社プロダクトを導入した時の成果が伝わらない。顧客も導入してそれがうまくいってるかどうかがわからない。目に見える形でわからないので、必然顧客の判断もどんどんフィーリング寄りになってくる。

④タンジブルな機能追加を求められる/チャーン理由にされる

目に見える成果が伝えられてないので、目に見えるもの、タンジブルなもの(触れるもの)が論点になってくる。すると、「あの機能が足りない」「ここが使いにくい」と言った、わかりやすく目に見えやすい、非常にフィーリングに偏った製品要求が出てくる。そして、「それがないから解約(チャーン)する」という展開になる。

⑤チャーンの御旗を掲げて社内調整

チャーンされては大変なので、CSMは大慌てでチャーンという錦の御旗を掲げて、社内調整に東奔西走する。しまいには「これがないとチャーンする」って言ってるんです、と伝書鳩に成り下がって、社内を縦横無尽に羽ばたき、駆け巡る。

⑥なんとか対応する

それを受けたプロダクトチームは、なんか違うぞ…という違和感を覚えつつも、チャーンという錦の御旗に忖度して、一顧客のフィーリングから出てきた機能の実装をなんとか仕上げる。いろんなワークアラウンド、設計やモデルの歪、そう言ったものを飲み込みながらもとりあえず作る。
こんなときPdMはよくわかんないけど「チャーンはヤバいよね」ってことで、伝書鳩の御用聞きをして機能実装する判断を下してたりする。

⑦でもなんか違うと言われる

できたものを顧客に見せると、「なんか違う」と言われたりする。「でもこの機能はないよね、この機能がないと使いづらいんだよ」とかが後出しで出てくる。なんかうまく成果でてる感じないしなー、とか本音もチラリと見えてくる。

⑧結局、チャーン

結局 「社内の方針変わって予算厳しくなっちゃってね」とか、持ち帰って自社内に報告しやすそうな適当なそれっぽい理由をお土産に持たされて顧客からチャーンを告げられる。

⑨残るのは焦点のぼやけたプロダクト

その後に残るのは信頼関係が失われて疲弊した組織と、全体感を失って増改築を繰り広げた結果、顧客の何を解決するのかという焦点がボヤけた、曖昧なプロダクトが残る。もちろん、一顧客の要求に応える突貫工事をしたため、もれなくコードベースも複雑になっている。

処方箋

もしこんなシナリオがあるとしたら、処方箋はなんだろう。多分この4つになる。

①目に見える形で課題を解決できる顧客だけと契約する
②契約直後にKPIをきちんと握りあう
③成果を目に見えるフォーマットにして見せて理解してもらう
④チャーンの錦の御旗に忖度せず、個別対応をきちんと退ける

①目に見える形で課題を解決できる顧客だけと契約する

Customer Success チームが契約するしないの最終ジャッジをできるくらいにカスタマーサクセスに権限を寄せて注力せよ、と青本でも言われてる。お互い不幸になることが見えてる契約はしない。

②契約直後にKPIをきちんと握りあう

ちゃんと成果を定義して、どのKPI(What)をいつまで(When)にどれだけ(How Much)上げていくのかの温度感を顧客と揃える。これが多分めちゃ大事。この握りがあると、これがチームをアラインさせる北極星になり、異なる職種から成るチームが一つの方向を向く。

③成果を目に見えるフォーマットにして見せて理解してもらう

ちゃんと見せるの大事。結果だけ出しても、そのことを適切に伝えない人間の評価が低いのと同じ。いいもの作ればOKだよねという、ものづくり教アンチマーケ派のプロダクトが流行らないのと同じ。いい結果を生んだらちゃんと伝える。これ大事。しかも顧客の担当者の上司や、会議でドヤできるような体裁に落とし込んで見える化してあげるとなお良さそう。

④チャーンの錦の御旗に忖度せず、個別対応をきちんと退ける

PdMがんばれ。忖度するな。断る勇気。ただ無碍に断れば良いというわけでもないと思うので、人間力、バランス力問われてます。がんばれPdM。負けるなPdM!

以上、ポエムでした。

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